NHKの連続テレビ小説『わろてんか』北村隼也(成田凌)がお目付け役の万丈目(藤井隆)からある特訓を受けます。
※『わろてんか』第123話では、隼也(成田凌)が万丈目(藤井隆)からある特訓を受ける
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180226-00010006-realsound-ent
藤井隆の演じる万丈目の史実モデルは秋田實です。
ドラマでは藤井隆が演じているせいか、なんだか性格が軽そうです。
実際の秋田実は東京帝国大学を卒業したインテリで、戦前から戦後にかけて漫才作家として活躍し、「上方漫才の父」と呼ばれる人物です。
彼は帝大時代から左翼系の小説を書いたり、出版社で編集をしていました。
なんだか実際の秋田實と万丈目では相当違ってるみたいです。
吉本興業部に入社したのは、昭和9年(1934年)のことです。
彼は普通の漫才作家だけではなく痛烈な社会批判もしていました。
秋田實の社会風刺はセンター試験の問題として出題されています。
■ 2007年度 センター試験【日本史A】問題
第6問 近現代の娯楽と政治に関する次の文章A・Bを読み,下の問い(問1~5)に答えよ。(配点 14)
A 漫才作者の秋田実(あきたみのる)は1905年,大阪に生まれた。高等学校・帝国大学時代は社会主義運動にかかわり,プロレタリア文学関係の雑誌【ア】の編集を手伝ったりした。1934年,『婦人公論』に発表した「モダン万歳(まんざい) 恋愛禁止法」では,若者の恋愛熱だけは医者がいくら考えても治せないので,恋愛を禁止する法律を「思案医師法(しあんいしほう)」と名付けた。(a)これは9年前に制定された社会運動を取り締まる法律を風刺したものである。
秋田は,横山エンタツ・花菱(はなびし)アチャコの人気漫才師コンビと出会い,戦中から戦後にかけて活躍した。
問1 空欄【ア】に入る語句として正しいものを,次の(1)~(4)のうちから一つ選べ。
(1) 白樺 (2) 戦旗 (3) アララギ (4) 文学界
問2 下線部(a)の法律について述べた文として正しいものを,次の(1)~(4)のうちから一つ選べ。
(1) 田中義一内閣の下ではじめて成立した。
(2) 基地反対闘争を取り締まるために制定された。
(3) 民主化をめざしたアメリカによる対日占領後も廃止されず,引き続いて効力を持った。
(4) 「国体」の変革と私有財産制度の否認を目的とする運動の取締を意図して制定された。
B 文化人たちは独自の視点で(b)戦時期の社会を振り返り,戦争責任問題のあり方をさまざまに表現した。当時の国民の姿を風刺した次の漫画は,その一例である。
(麻生豊「こいつが悪かったんだ!」『新漫画』1946年1月15日)
「戦争犯罪人」の処罰は,1945年7月,日本の無条件降伏を勧告した【イ】にも記されていた。一方,この漫画に描かれたように,戦争責任の問題はあいまいであった。しかし,この漫画の背景となる1945年暮れから1946年初めは,(c)占領軍によって,戦争犯罪容疑者の逮捕や,戦時期の活動を問う施策がなされ,それはやがて文化人にもおよんでいった。
問3 空欄【イ】に入る語句として正しいものを,次の(1)~(4)のうちから一つ選べ。【34】
(1) シャウプ勧告 (2) ポッダム宣言
(3) カイロ宣言 (4) 人権司令
問4 下線部(b)に関連して,満州事変以降の社会について述べた文として誤っているものを,次の(1)~(4)のうちから一つ選べ。
(1) 新聞紙条例が制定され,言論が弾圧された。
(2) 知識人が人民戦線事件で弾圧された。
(3) 国民精神総動員運動が行われた。
(4) 大政翼賛会が結成された。
問5 下線部(c)に関して述べた次の文X・Yについて,その正誤の組合せとして正しいものを,下の(1)~(4)のうちから一つ選べ。
X 戦時期には日本文学報国会が組織された。
Y GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は,政財界や言論界などの指導者を対象として公職追放を指令した。
(1) X 正 Y 正 (2) X 正 Y 誤
(3) X 誤 Y 正 (4) X 誤 Y 誤
■ 回答
問1 正答は(2) 戦旗
『白樺』は人道主義、『戦旗』はプロレタリア文学、『アララギ』は短歌、『文学界』はロマン主義関係を代表する雑誌である。
問2 正答は(4) 治安維持法
1934年の9年前に制定された社会運動の弾圧立法とあることから、1925年に制定された治安維持法の問題です。
問 3 正答は(2) ポツダム宣言
日本の無条件降伏を勧告したと表記されていることから、自然とポツダム宣言が想起されなければならない。
問4正答は(1)
新聞紙条例は明治時代に発令された自由民権運動を弾圧するための法律である。
問5 正答は(1)
日本文学報国会は1942年5月、大政翼賛会・内閣情報局の指導でつくられた文学者の戦争協力組織で、会長には徳富蘇峰が就任。公職追放令は、のちに1950~52年にかけて、軍国主義者や国家主義者らの公職追放の解除がおこなわれた。
■ 平和な時代から戦争の時代へ
NHK連続ドラマ「わろてんか」では昭和9年はまだ平和な時代でした。
吉本興業ではマーカス・ショウを招聘しています。
万丈目のモデル、秋田實が吉本興業に入社しています。
『婦人公論』に「モダン万歳恋愛禁止法」を発表し、恋愛はだけは誰も取締れないと治安維持法を批判しています。
■ あなたの明日があるなんて錯覚です。
これ以後、日本は戦争へとまっしぐらに進んでいきます。
世界史を見ると人類の歴史は戦争の歴史だとわかりました。
人類の未来は明るいと言われますが、どこが明るいのでしょうか?
人類の戦争の歴史はどんどん過激になっているだけではないですか。
アメリカ大統領
ジョン・F・ケネディは次のように語りました。
人類は戦争に終止符を打たなければならない。
さもなければ、戦争が人類に終止符を打つことになるだろう。
Mankind must put an end to war, or war will put an end to mankind.
君ね明日があるなんて錯覚です。
戦争に終止符を打たない限り、いつかあなたの前の明日がなくなります。